福井県の株式会社武笠さん(川を愛する会の団体会員様)をお伺いした際、ご当地若狭町に「歴史の物差しの“標準”」があることを教えていただきました。
水月湖の「年稿(ねんこう)」です。水月湖の底に、長い年月をかけて堆積した、まるで木の年輪のような縞模様の泥の層があり「年縞」と呼ばれています。ちなみに、水月湖の場合、その層は1年分が約0.7mmで、世界でも類を見ないほどの厚み(?)があるそうです。なんと、7万年分というから驚きです!
ところで、その年稿が、なぜ「歴史の物差しの標準」なのかといいますと、たとえば、世界のどこかで遺跡が発掘されたとします。それがいつの時代のものだったのか、放射性炭素というものの値を調べることで可能だそうです。(放射性炭素は、一定の割合で少しずつ減少していきます。)
ところが、その測定値には誤差がつきもので、放射性炭素の値から正確な年代を知ることができる「物差し」が求められていました。
それが、水月湖の湖底にあったのです。年縞には、木の葉や花粉など植物の化石が入っているので、その値を調べれば、一番上(今年)から数えて何本目の縞か、つまり何年前なのかの「物差し」にできるそうです。日本最古の縄文土器が作られたのが約1万6千年前とわかったのも、水月湖の年縞のおかげだそうで、その誤差は、1万年前でプラスマイナスわずか29年といいますから、その精度に驚くばかりです。さすが、世界が認める「物差し」ですね。